ライオン株式会社向けフレーバリスト知見AIを開発

プレスリリース

ライオン株式会社向けフレーバリスト知見AIを開発

香り・味に対する
熟達フレーバリストの官能評価知見を搭載した
"熟達者AI"を開発


株式会社LIGHTz(代表取締役社長:乙部 信吾)は、人々の暮らしと共に歩んで120年余のライオン株式会社(代表取締役社長:掬川 正純)のハミガキのおいしい味や香りを創る熟達「フレーバリスト」の思考を言語化し、後世に残す"熟達者AI"を開発いたしました。


"熟達者AI"

ライオンブランドを代表するハミガキ。その味を支えているのがフレーバリストの研ぎ澄まされた知見です。複雑な成分からなる繊細な香りを嗅ぎ分け、500種類以上の材料特性の知識に基づいて調香予測や官能評価ができることが求められます。
この度株式会社LIGHTzは、この「熟達フレーバリスト」の知見を可視化し、「若手フレーバリスト」へ伝える"熟達者AI"を開発いたしました。

"熟達者AI"は、デジタル化が難しい官能評価の領域において、熟達者知見 というテキスト情報と材料特性データや調合実績データといったデジタルを 連携させた極めて革新的な仕組みです。"熟達者AI"にはベースとして株式会社LIGHTzの熟達者知見AI「ORGENIUS」を採用し、香料開発の各段階において、熟達フレーバリストが頭の中で行っていたことを、ブレインモデルという言語ネットワークの形で可視化して組み込んでいます。これにより、今回のように ビックデータがない官能評価の領域でのAI化を実現しています。香料開発に おいて、"答え"を提示するだけでなく熟達フレーバリストの"思考"に基づく理由を併せて提示し、より深い"気づき"を継承していくことができます。

Insight
香りに関する材料特性やその組み合わせによる香りに関する熟達フレーバリストの知見が  言語ネットワーク(ブレインモデル)の形で可視化され組み込まれている

Flavor Knowledge
インプットされた香料設計データから、熟達フレーバリストのブレインモデルと連携して、類似した香りに関する過去実績データを引き当て、目指す香りを実現するための材料調合に関する 改善の方向性とその根拠を併せてレコメンドする

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"熟達者AI"の活用イメージ

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"熟達者AI"は、香料開発におけるフレーバリストの思考をホワイトボックスに
することで、開発期間の短縮を図ることができるだけでなく、熟達フレーバリストの思考を参考にした"気づき"の提供により若手フレーバリスト育成にもつなげることができます。


背景と想い / こだわりとテクノロジーの両立      開発者 野末 馨

今回のプロジェクトを通して、弊社として一番大事にし、開発に取り組みさせていただいたところは、フレーバリストのこだわりに寄り添い、背中を支えるAIとなるようにしていくことです。
「香り」という官能的な領域を評価するスキルは目に見えないために獲得・継承が難しい技能です。熟達フレーバリストはその香りの組み合わせに関する経験に裏打ちされた「引き出し」を持っており、その技能継承は一般的な技能継承に比べて極めて困難な課題でした。今回の、熟達者知見プラットフォームの構築では、熟達フレーバリストの官能的評価の深さ、品質を追求するこだわりや思いの強さを肌感覚で実感でき大変貴重な体験でした。こうした領域を言語化することは非常に困難なものでしたが、これこそがミントプライドを支える重要な要素であると考え、AIシステムの開発に当たっては、フレーバリストの皆様が持つ感覚的な部分を活かしたプラットフォームの形を模索しました。
今後熟達者知見プラットフォームを活用しつつフレーバリストの皆様がよりこだわって開発してくださる製品を、ぜひ皆様も楽しみにしていただければ幸いです。


メッセージ         株式会社LIGHTz / 代表取締役社長 乙部信吾

弊社LIGHTzが目指す 「AI(人工知能化技術)」 の社会適用コンセプトは、以下の通りです。

  1. ビッグデータではなく、 スモールデータ で駆動する "説明可能なAI" の開発を通じ、
  2. 先駆者、熟達者の思考 から得られる 「良質な気づき」 を 社会に提供し続け、
  3. 伝統と共に生き、働く喜び や 自律分散型社会 の実現に貢献していく

今回、ライオン様という個社が、フレーバリスト職種の先駆者が持つ思考の様式を学んだり、ミントを主体とした香り創りへのこだわりを再確認することを通じて、自身の持つ特有なる価値を深く認識し、そのAI化に成功されたことは、個の魅力をより力強く華開かせていく将来に向かっていくという意味でも、また、次世代にそのバトンをつなぐという意味でも、多大なる価値のあることだと思っております。
ライオン様のさらなるご発展を祈念いたしますと共に、創作されたAIを通じて、次世代を担う皆様の多様なる "気づき" が次の未来を拓いていかれますことを心より期待し、ご挨拶とさせていただきます。

【PDF】
ライオン株式会社向けフレーバリスト知見AIを開発

【参考URL】
LIGHTzとライオン株式会社の「AIを活用した歯磨き粉香料開発システム」についての取り組みが、『日経産業新聞』に掲載
ライオン、香料開発にAI導入 開発期間半分に
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66122130S0A111C2XQH000


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