特別対談インタビュー
【特別対談①】ものづくり太郎氏×LIGHTz 「製造業における、3Dの民主化」
①ものづくりの未来を拓く「3Dの民主化」
LIGHTz:弊社の主力メンバーはメーカーのエンジニア出身で、「blooplinter」を作ったメンバーもそうですが、10数年前はCADとPLMを使っていました。 PLMはもちろん素晴らしいものなのですが、CADとPLMの間で「もう一つ痒いところに手が届くものが欲しいな」とずっと思っていました。しかし、CADをカスタマイズしても、根幹の部分は触れないのでやれることに限界を感じていました。よくある金型自動設計みたいなものや自動生成みたいなものですが、「もう一歩先が欲しいな」と思ってずっと試行錯誤していたので、今それをLIGHTzで作っています。
太郎氏:PLMソリューションを導入したものの、スクラッチでの開発が難しくて自由度がなかったという話ですよね。
LIGHTz:あとはやっぱり3D化を目指していたのですが、現場側がうまく使えないとか、もう一歩業務に寄り添った3Dの使い方になっていなかったので、設計が大変になるだけで効果を出すのが難しかったですね。
太郎氏:基本的にはそうですね。購買も問題だと思っていて、結局KPI目標値が「価格」だから全体最適とか全く考えてないですね。価格を下げることしか考えてなくて、じゃあ丸投げできるとか、三者購買しようっていうことになると、それら全部を受け止められるのが何かっていうと「二次元図面」になるわけですよね。だから二次元図面でとりあえず描いておけという話になってしまうと僕は思っています。
LIGHTz:そうすると設計側が「3D図面」と「二次元図面」の両方を描かないといけなくなって、大変になりやめてしまうみたいな話になってしまう。
太郎氏:大変なうえに、上長も3Dに慣れていなくて、休日で描いてこいとか言う人もいて...。デザインレビューをしても3Dだとよく寸法が分からないとか言う人もいっぱいいるわけですよ。だからちょっとは勉強して欲しい。3Dの導入に対して大きな壁がありますね。貴社のソリューションはどのように役に立つのですか。
LIGHTz:我々のソリューションは、3Dデータを中心に、そこに企業の持つナレッジ情報や報告書・規定書・標準書などの別データを直接つなぎ、一元的に接続できることですね。
結局仕事になると、こっちにCADを表示して、こっちに標準書を表示して、確認しながら「あれはどこだっけ?」みたいな感じでいつも情報を探している。
だから「blooplinter」はモノづくりで必要な全ての情報を3Dのデータ(形)につなげてあげて、これだけ見てくれればいいですよっていうソリューションです。
太郎氏:3Dデータを見れば公差も分かる。その他には何が分かりますか?
LIGHTz:他には過去に擦り合わせをした際の過程の情報などです。このような3D形状や部品に対しては名前があるのですが、部品の「絞り」などには決まった名前がないので、その名前のない形状に直接ノウハウや取り扱い、検討書などいろいろな情報が紐づくというようなソリューションになっています。
太郎氏:わかりやすく言うとサービスBOMみたいなものだけど、サービスBOMとは違って、貴社のソリューションを使うとエンジニアリングで「どういう風に設計したのか」とか、「どういう受け定義をしたのか」ということがわかるようになっている。それはCADのアドバイスツールということですか?
LIGHTz: 最終的にはPLMと連動させていきたいので、APIまでは組み込んでいます。「blooplinter」に対する接続のインターフェースのようなイメージです。例えばCATIA V5で形を検討しているときに、情報を飛ばせるとかPLM、PDMから連続連携するみたいな感じです。いちいちデータを吐き出さないといけないということがないように、開発者が煩わしくないように意識しています。
太郎氏:「blooplinter」では何が見られるのですか? 過去のナレッジを見つけるということですか? ナレッジを見つけるAIがアシストするCopilotみたいなものということですか?
LIGHTz:そうです、最終的にはCopilotを目指して作っています。今は形状データを放り込むと、部品の形状から投入したモデルを登録して前のバージョンとの差分だったり、さらに前の情報だったりを認識できるようなところまで来つつあります。
この「blooplinter」はエンジニアの視点を模倣させた形状認識AIが入っており、特に「広くざっくり見る目のAI」と「細かく見る目のAI」などを開発していますので、例えば「ここの部分が前と違う」など、エンジニアのCopilotとして細かな差分を見つけて支援したりします。
太郎氏:モデリングの時に役に立ちますね。過去の類似性を定義する時に過去の情報が正しいとか、どのように検討されたのか、という情報はパワポとかエクセルなど別で保存されていたりするので、そこの整理がそもそも大変じゃないですか。
LIGHTz:それはおっしゃる通りだと思います。
プロジェクトが終了したときに、トラブルなどが発生した場合は生産要件とか設計要件に反映させますので、過去のトラブルなどを考えないといけない時は、要件書を見ることになります。それを学習しておけば、過去の案件は精算できる部分も多いですね。もちろん過去の過程情報も登録できればいいのですが、そこに関してはサービスプランも検討しています。
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【blooplinterについて】
【YouTube】
blooplinter -人と形状認識AIで歩む、新しい「ものづくりのカタチ」 -
ものづくり太郎 ブーステック代表取締役/製造業系YouTuber
フロントローディング 技術伝承